成瀬映画に登場する風景


『旅役者』(1940年)@ NEW 一部追加2020.5.3 2020.4.30

六代目中村菊五郎(高勢実乗)一座(藤原鶏太、柳谷寛など)が興行先の駅に降りるシーン。
田舎町の興行関係者(御橋公、深見泰三、中村是好など)が出迎える。

地方の駅なのだが、場所はまったく不明だった。
今回観直してみて、旅館での歓迎会の座敷で一座の役者たちが
歌い踊るのが民謡の「会津磐梯山」だとわかった。(下記画面写真 一番下の2枚参照)
ということは、この町は会津地方に間違いないだろう。
歓迎会で違う土地の民謡で盛り上がることはないだろうと考える。

あくまで類推だが、福島県の会津鉄道(映画の当時は国鉄線)の駅のどこかではないか。
下記画面写真の赤い囲みに駅名が書かれているが、判読不可。

→2020.5.3追加 
 
ある方(匿名希望)からメールで情報提供があり、
 この駅はJR磐越西線(福島県郡山〜会津若松〜新潟県新津)の「磐梯熱海駅」であると指摘いただいた。
 画面写真と見比べるとここに間違いない。温泉街だ。


本作はユーチューブにアップされている。成瀬映画の傑作の1本。

2020.5.3追加(地図と写真3枚)



  


   

   

 


本作とは違う作品だが、会津地方の駅がロケーションとして登場するのは『くちづけ 第二話「霧の中の少女」』(1955)
石坂洋次郎原作の三話オムニバスで、第二話の監督は鈴木英夫。第三話が成瀬監督の「女同士」。
「女同士」も成瀬調の名作だと思うのだが、三話の中ではやはり「霧の中の少女」が牧歌的な雰囲気と幸福感に満ちた内容で素晴らしい。
司葉子の父親役は藤原鎌足、母親役は清川虹子、元気な祖母役は飯田蝶子。
藤原と清川は『旅役者」にも出演している。(当時は藤原鶏太)

「霧の中の少女」は、夏休みに帰省している由子(司葉子)のところへ、同じ大学の恋人=英吉(小泉博)から北海道旅行から東京へ戻る途中に
実家に泊めてほしいという手紙が届き、司葉子が妹の妙子(中原ひとみ)と弟の信次(伊東隆)を連れて駅に迎えに行く。

この駅は、画面にもはっきり映っていて、会津鉄道に現存する「門田(もんでん)駅」。現在は無人駅のようだ。
『旅役者』の駅は、「門田駅」に似ていると思ったのだが、背景の山並みなどからここではないようだ。
ただし、駅の感じが似ているので、『旅役者』の駅も会津鉄道のどこかの駅ではないかと。
後ろの山の形が一緒のようにも見えるので、「門田駅」から会津若松方面のどこかの駅かも。

ちなみにこの「門田駅」から東京方面にある途中の駅が「芦ノ牧温泉駅」で、ここは『女の中にいる他人』に登場する温泉地。



  


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